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こんにちは。luxe-guitars.com 運営者のHです。
レスポールのピックガードを外すかどうか、迷っているプレイヤーは多い。ネジ穴が残ること、ブラケットの調整、ヴィンテージ個体への影響――判断軸が複数絡み合うだけに、答えが出しにくいのは当然です。本記事では、DIYレベルの穴埋め手順から、1950〜60年代オリジナルピックガードの市場評価まで、レスポールのピックガードをめぐる全論点を整理します。カスタムショップやヒスコレを所有する方にも参照価値のある内容です。
- レスポールのピックガードを外すメリットと穴埋めの正しい手順がわかる
- ヴィンテージ・レスポールのオリジナルピックガードの素材と市場価値を知れる
- ピックガード交換がヴィンテージ楽器の査定額に与える影響を理解できる
- ブラケット調整・浮き防止・べっ甲デザインの選び方が具体的にわかる
レスポールのピックガードを外す理由とメリット
ピックガードの脱着はレスポールプレイヤーが一度は直面するテーマだ。外す動機は演奏性の改善が主だが、見た目の好みや楽器のポテンシャルを引き出したいという審美的な理由も少なくない。まず取り外しの判断基準と、それに伴う作業の全体像を把握しておこう。
レスポール ピックガードが弾きにくいと感じる場合
レスポールのピックガードが弾きにくいと感じる理由は、大きく二つに分類できる。ひとつは物理的な干渉で、ピッキング時に手の側面やブリッジ側の指が誤ってピックガードに触れ、アクセントがぶれるケースだ。もうひとつは心理的な干渉で、「触れそう」という意識がピッキングフォームを無意識に制限してしまう現象である。
速弾き主体のプレイヤーや、アコースティックギターから持ち替えたユーザーに後者の傾向が多い。アコギのフラットトップに慣れた手は、レスポールのカーブしたトップと固定されたピックガードの組み合わせを異物と感じやすい。
外す前に必ず確認したいのが、ピックガードの取り付け位置が正規か否かという点だ。ファクトリー出荷時の位置から経年でずれているケースがあり、ブラケットを1〜2mm調整するだけで違和感が消えることがある。リペアに出す前に、ブラケットを緩めて位置を再確認する価値は十分ある。
それでも解決しない場合は、外してしまうのが合理的な判断だ。外すことで手のポジション自由度が上がり、特にP-90搭載モデルでは弦に近い位置でのミュート技術も向上しやすい。ただし脱着の判断は修理歴として扱われることがあるため、査定や売却を視野に入れているヴィンテージ個体では慎重に行う必要がある。
ピックガードを外す前にブラケットの位置調整を試みること。正規の取り付け位置からわずかにズレているだけで弾きにくさが生じる場合がある。外してからでは遅い判断もある。
レスポール ピックガードの穴埋めが必要なケース
レスポールのピックガードを取り外すと、フローティングブラケットを固定していたネジ穴がボディ表面に残る。このネジ穴は外観に影響するだけでなく、木材内部への湿気浸入経路となるため適切な処理が推奨される。特にサンバーストやチェリーの塗装面では目立ちやすく、放置すると周辺の塗装に微細なクラックが広がるリスクもある。
穴埋めが必須になるのは主に以下の三つのシナリオだ。第一に永久撤去——ピックガードを二度と付けないと決めた場合。第二にサイズ違いへの交換——社外品や年代違いのピックガードを付ける際にブラケット位置が合わないケース。第三にネジ穴の拡大——繰り返し脱着を行いネジが効かなくなった場合である。
なお、穴埋め処理は木工作業を伴う。ヴィンテージ個体(1960年代以前)では自己判断での施工を避け、専門のリペアショップに依頼することを強く推奨する。オリジナルの塗装や木材に不可逆的なダメージを与えると、査定額に深刻な影響を及ぼす。
レス ポール 穴埋めの具体的な手順とは
現行品や近年のカスタムショップ個体であれば、DIYで穴埋めを行うことは十分可能だ。用意するのはマホガニー材またはメープル材の爪楊枝(あるいはくろもじ)、タイトボンドなどの木工用接着剤、カッターナイフ、サンドペーパー(#400・#800)の四点で足りる。
手順は次の通りだ。まず穴の直径と深さを確認し、爪楊枝や細木片を穴に合わせて削る。塗布量を最小限に抑えた接着剤を木片の側面に塗り、ゆっくり押し込んで24時間以上乾燥させる。乾燥後、出っ張った部分をカッターで切断し、#400→#800の順でサンドペーパーをかけて表面を均す。
ポイントは木片の素材選択だ。ボディがマホガニーであればマホガニー系の木材を使う方が木材の動き(湿気による収縮膨張)に対応しやすく、長期的な安定が保たれる。爪楊枝(白樺系)でも強度は確保できるが、5年以上の長期保持を考えるならボディと同材種を使うのが望ましい。
穴埋め後に再度ピックガードを付ける可能性がある場合は、あえて木片を埋め込まず、ネジ穴に透明シリコンシーラントを薄く充填するだけにとどめる選択肢もある。これで湿気浸入を防ぎつつ、後から再度ネジを入れることができる。
レスポール ピックガードのネジが合わない時の対処法
ピックガードのネジやブラケット位置がボディと合わない問題は、主にサードパーティ製パーツを使用した際に起こる。ギブソンUSA仕様とギブソンジャパン仕様ではブラケット形状に微妙な差異があり、ネジ穴ピッチが異なることもある。
まず試すべきなのはブラケットアングルの微調整だ。薄いスチールブラケットはペンチで0.5〜1mm曲げることで取り付け角度を変えられる。力をかける際は当て布を使い、ブラケット表面の傷を防ぐこと。この調整だけで多くのズレは解消する。
それでも合わない場合は新しいネジ穴を開けるほかないが、このとき既存の穴は前述の方法で埋めてからリドリルする。空穴に直接新しいネジを打つと割れやすく、固定強度も下がる。
なお、ピックガード購入時は商品説明に「Gibson USA対応」「Les Paul Standard対応」と明記されているものを選ぶのが確実だ。ブラケット付きのフルセットを選べば、位置合わせの精度が上がる。
サードパーティ製ピックガードはブラケット寸法が微妙に異なる場合が多い。「Les Paul互換」の記載があっても必ずしも無加工で取り付けられるとは限らないため、購入前にブラケットの仕様(幅・厚み・角度)を確認すること。
ビンテージ・レスポールのオリジナルピックガードの素材と価値
1952年から1960年代前半にかけて製造されたオリジナル・レスポールのピックガードには、現代の量産品とは根本的に異なる素材と製法が使われている。この時代のピックガードはセルロイドまたは初期のポリスチレン系プラスチックで成形されており、経年変化による色変化と収縮が顕著な特徴だ。
セルロイド製ピックガードは紫外線と熱で徐々に黄変し、また素材自体が収縮するため年月を経るごとにボディ表面から「浮き」が生じる。これはコレクター界では「プリ CBS 収縮」と呼ばれる現象で、50年代後半〜60年代前半のゴールドトップやサンバーストに見られる典型的なエイジングサインだ。この状態をあえて保持することが、オリジナリティ査定では有利に働く。
1959年製レスポール・スタンダードのオールオリジナル個体では、ピックガードがオリジナルかどうかで査定額に数十万〜数百万円の差が出ることがある。ピックガードのネジ穴パターン、ブラケットの金属成分(真鍮系かニッケル系か)、セルロイドの黄変具合を専門家が確認する。替えられたものは「ノンオリジナル」として明記されるため、コレクターズマーケットでの価値は確実に下がる。
1950〜60年代のヴィンテージ個体を所有している場合、ピックガードの交換・修理は専門ディーラーへの相談を最優先にすべきだ。「弾きにくい」「外れそう」という理由で安易に交換したことで、オールオリジナル査定を失った例は業界内で枚挙にいとまがない。
現代のリイシュー(ヒスコレ・カスタムショップ)では、ヴィンテージ時代の収縮・黄変を再現した「エイジド・セルロイド」仕様のピックガードが一部ラインナップされている。見た目の真正性を重視するコレクターにはこうした選択肢も有効だ。
セルロイドは可燃性が高く、保管環境には注意が必要だ。高温・直射日光の当たる場所での長期保管はセルロイドの劣化を加速させる。ヴィンテージ個体の保管は温度18〜22℃、湿度45〜55%が理想とされる。
レスポールのピックガード選び方と正しい取り付け
ピックガードは交換が比較的容易なカスタムパーツだ。しかし安易な交換はヴィンテージ価値の毀損につながるリスクもある。取り付け技術と素材選択を正しく理解した上で、自分の楽器に最適な判断を下してほしい。
レスポール ピックガードが浮いてる原因と解決策
レスポールのピックガードが浮いてしまう最大の原因はアーチドトップのカーブとピックガードの形状不一致だ。レスポールのトップは中央に向かってせり上がる曲面構造(アーチドトップ)で成形されており、フラットなピックガードをそのまま当てると端部が必ず浮く。
ファクトリー出荷時はブラケットの角度を精密に合わせることでこれを補正している。経年でネジが緩んだり、ブラケットが変形したりすると浮きが生じる。対処の第一歩はブラケットのネジを一度緩め、ピックガードをボディに軽く押しつけながら再締めすることだ。これで8割のケースは改善する。
セルロイド製(ヴィンテージ)の場合は素材の収縮が主因のことがある。市販のドライヤーで表面から3〜4cm離した距離から5秒程度当て、柔軟性が出たところで手でカーブに沿うよう矯正する。ただし過熱するとセルロイドは白化するため、作業は短時間で複数回に分けること。
社外品ピックガードの場合は、そもそも曲率が合っていないケースがある。高品質なサードパーティ製品(WD MusicやAller Pickguardsなど)はレスポール専用のカーブを再現しており、浮きが少ない。素材もPVC(ポリ塩化ビニル)ベースで寸法安定性が高い。
ピックガード交換がヴィンテージ価値に与える影響
ヴィンテージ・レスポールの査定において、ピックガードのオリジナリティは「主要な確認ポイント10項目」の一つとして業界標準的に扱われている。ビンテージギター専門ディーラーが作成するコンディションレポートでは、ピックガードの状態を「オリジナル」「期間中修理品(ペリオドコレクト)」「リプレイスメント」に分類して明記する。
リプレイスメント(市販の交換品)が付いていると、オールオリジナル個体に比べて査定額は5〜20%程度低く見積もられることが多い。1959年製レスポール・スタンダードの場合、現在の市場価値が1,000〜2,000万円に達するケースもあるため、この差は数十〜数百万円のインパクトになる。
ただしすべてのプレイヤーに査定最大化が目的ではない。弾く楽器として活用するプレイヤーにとって、ピックガードは消耗品のパーツと割り切ることも正当な判断だ。問題は、将来的に売却・相続を考えるコレクターが無意識に交換してしまうケースにある。購入時に「コレクション」か「プレイヤーズギター」かを明確にしておくと判断が楽になる。
なお「ペリオドコレクト」、つまり製造年代に合ったパーツへの交換は、コレクター間でオリジナルに準じる扱いを受けることがある。60年代前半の個体に1958〜1960年当時のNOSパーツ(未使用デッドストック)を使って補修した場合がこれに当たる。こうした細部の知識がヴィンテージ市場での交渉力を高める。
ヴィンテージ価値を守るなら「交換前に撮影・記録」が鉄則。外したオリジナルピックガードは必ず保管しておく。それだけで将来の査定時に「ノンオリジナル」の評価を避けられる可能性がある。
ピックガードの厚さは何ミリが一般的ですか?
現代の量産品レスポール用ピックガードの標準的な厚さは1.6mm(1/16インチ)から2.4mm(3/32インチ)の範囲に集中している。ギブソンUSAの現行品に付属するピックガードは2プライ(白+黒)または3プライ(黒+白+黒)のABS樹脂積層で、厚みは約1.6〜2.0mmが主流だ。
ヴィンテージ仕様のセルロイド製ピックガードは収縮前の時点で約2.0〜2.5mmあったと記録されているが、半世紀以上の経年で1.3〜1.5mm程度まで薄くなっているケースが多い。ヒスコレやカスタムショップのリイシュー用ピックガードは、オリジナルの寸法を参考に2.0mmのセルロイド系素材で成形されることが多い。
厚みが演奏性に与える影響は軽微だが、厚いほど弦に当たったときの保護効果が高く、薄いほど指を添えた際の違和感が少ない。速弾き主体で手首の安定台としてピックガードを使うプレイヤーには2mm以上、ピックガードに触れない奏法のプレイヤーには1.6mmで十分だ。カスタムオーダーで厚みを指定できるリプレイスメントメーカーも存在するため、弾き心地にこだわる場合は検討の余地がある。
レスポール ピックガードのべっ甲デザインとは
べっ甲柄(トートシェル)ピックガードは、1950年代ギブソン・レスポールのゴールドトップやサンバーストに採用されたオリジナルデザインに由来する。現物のべっ甲(ウミガメの甲羅)は現在ワシントン条約(CITES)で厳しく規制されており、新品での入手は不可能だ。現代のべっ甲柄ピックガードはすべてセルロイドまたはアクリル系素材による模倣品となる。
コレクター市場では素材の違いが明確に評価される。セルロイド製は光の当たり方によって深みのある色の変化を見せるが、アクリル製はより均一で安定した発色が特徴だ。ヴィンテージ志向のプレイヤーはセルロイド、耐久性を重視するプレイヤーはアクリルを選ぶ傾向がある。
サンバーストとべっ甲の組み合わせは1950年代後半〜1960年代前半レスポールの定番ビジュアルであり、ヒスコレ「R9」(1959年レスポール・スタンダードのリイシュー)にもこの組み合わせが多く採用されている。べっ甲の色合いは製造ロットによって異なり、同じ型番でも「濃いべっ甲」と「薄いべっ甲」に分かれる。オールドギブソンの雰囲気を重視するなら、濃い茶系のセルロイドを選ぶと全体の印象が引き締まる。
レスポールのピックガードをめぐる玄人の最終判断
ここまで読んだ方は、レスポールのピックガードが単なる「傷防止パーツ」でないことを理解したはずだ。演奏性・見た目・素材の経年変化・ヴィンテージ価値の保全が複雑に絡み合うテーマだと言える。玄人がピックガードについて下す最終判断の基準を整理しておこう。
現行品・カスタムショップ個体の場合は、演奏スタイルと好みで自由に判断して構わない。外す場合は穴埋め処理を丁寧に行い、交換する場合はギブソン純正またはWD Music等の高品質リプレイスメントを選ぶ。べっ甲かクリームかは年代考証より自分のサウンドイメージで選んでいい。
1960年代以前のヴィンテージ個体の場合は、一切の自己判断での脱着・交換を避けることを強く推奨する。ピックガードのオリジナリティは楽器全体の価値に直結する。外す必要があれば専門店での保管を依頼し、売却・査定時に必ず添付できる状態を維持するべきだ。
最終的に「レスポールのピックガードを外すか」の答えは、その楽器が「弾くための道具」か「所有・収蔵する資産」かによって変わる。両者を兼ねるプレイヤーは特に慎重に。どちらの立場で向き合うかを決めた上で本記事の知識を活用してほしい。
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